出版社: 文藝春秋 (2017/6/21)

ISBN-10: 4163906657

ISBN-13: 978-4163906652

発売日: 2017/6/21

 

村上ファンドで有名な(「お金を儲けて何が悪いんですか!」とか、ライブドア事件とか色々センセーショナルな事件と発言で記憶している人も多いだろう)、村上世彰氏が自身の自伝とも言える本生涯投資家を執筆し出版した。一昔前を知るビジネスマン(特に金融、投資、ベンチャーの関係者)であれば、村上ファンドを知らない者はいないだろうし、また、何かしらの関心は持っている人は多いだろう。

詳細な内容については、既に、多くのブロガーや評論家が記述していると思うので、この本を読んで感じたポイントを書く。

 

◆結論

 

・株主価値向上が上場企業に求められる流れは益々強まる。(伊藤レポートにあるROE8%以上が求められる傾向、スチュワードシップコードの導入、コーポレートガバナンスコード導入によるコーポレートガバナンス重視の傾向)

・資本効率は高くあるべし(資本や内部留保は少なく、効率よく稼ぐ、投資するか株主に還元せよ!)

 

出典:「生涯投資家」211頁,  213頁 海外企業の事例-Appleとマイクロソフト

注:Apple、マイクロソフト共に純資産(資本金含む部分)が時間の経過と共に殆ど大きくなっていない。Debt finance(借入か社債等)を活用して事業を営んでいるのが分かる。つまり資本は小さくとも、稼ぎは大きく(株主に対する還元も大きく)ということである。

・結論として(上記、村上世彰氏の主張は、既に日本を含む世界の金融資本市場のトレンドとなりつつあるので)日本の株価は(も)更に上がる。

・村上世彰氏は確信犯だが、無自覚な(本人の思いとしては)善人である。(ハゲタカであるとか、悪意ある人かと言うと、そうではなく、株主が企業に対して株主価値向上を厳しく求める世界的なトレンドを先取りしているだけのことである。金融ユダヤ財閥の手先と言えば手先かもしれないが、いずれ日本全体がそういう流れに取込まれるのであって、彼が無自覚に鉄砲玉となってしまっただけのことだろう。)

・村上世彰氏は、経済や金融を学ぶ前に心理学やメディア対応、広報について勉強するべきであった。(ホリエモンと同様で、金儲けやビジネスのセンスは抜群なのだが、人の心の動きを見抜いた上で、どう戦略的に振る舞うべきか、という観点が決定的に抜けている人である。これからも彼は吠え続け、世間を楽しませてくれるのではないだろうか。。。)




◆驚いた点

 

・村上世彰氏には華僑(華僑貿易商である在日台湾人の父親の次男。大阪・道頓堀界隈に生まれ)の血が流れていた。

 

・フジテレビに関するインサイダー取引事件が過ぎ去った大分後の話:娘(当時株式の購入の判断には携わっていなかった)が2015年11月25日、金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で自宅や長女宅などが強制調査された際、そのストレスが元で死産に至った。これをきっかけに家族からの要請もあって、自分の主張を世に知らせる必要があると感じて、出版を決意した。

 

【考えるべき点】

 

こうした本が出ると感想は大体二パターン出る。1感動した、村上さんもまた人の苦しみや悲しみも知る一人の人間なんだ!2金融ユダヤの手先だ!

参考資料:「日本郵政は外資が買えばいい」 再始動の村上世彰氏が語る 

筆者注:ブログを書いている矢先から上記のようなインタビュー記事が掲載されている。。。コメントすべきことは何もない。

私はどちらも正解であると思っている。金融や投資、ビジネスの世界、全てにおいて言えることだが、清濁合わせ持たない限りは絶対に大きくはならない。ほぼ、同じような批判を受け、(かってはテレビ朝日の買収を試みたり)センセーショナルな話題を振りまきながらも、今日まで生き残っている孫正義との違いは何か?これを考えてみるべきだろう。

詳細は、本を読み、登場人物についてネット検索してググってみて頂ければ分かるが、彼があまりにも不用心に問題のある人物(国家や社会から爪弾(つまはじ)きにされるような人物=問題のある人と定義すればだが。。)と接し、ビジネスを行っている点だろう。その裏には、どのような金が蠢(うごめ)いていたのか、本には一言も触れられてはいないが。「出る杭は打たれる」の諺通り、成功すればしたで、外部からの攻撃も激しくなるものだ。過去の報道や、「生涯投資家」を見る限り、本当に何の用心もしていないように見える。

 

(それに対して、孫正義に代表される、生き残り、かつ大きくなっている経営者や投資家は、攻めだけで無く守りの部分も余程うまいのだろう。)

 

どんなに能力が高くとも、人を利用したりするような人物や、足を引っ張ることばかり考えているような魑魅魍魎(検察から目を付けられることも含む。。。)を容易に自分の周りに近付けてしまうという点に於いて、彼はビジネスマン、経営者失格であろう。兎にも角にも、村上氏のような人物に万が一出会った場合には、ビジネスマンや経営者たるもの、常に用心をしておくというのが正しい判断だろう。発言と心の動きは裏腹な人は世の中にたくさんいるのだから!

ブログ筆者注:私が知人から聞いた情報では、少なくとも日本国内で新規に上場したい会社は、絶対に村上氏に関わっていてはいけないようである。金融庁(国家)が嫌っており、資本関係や取引関係があると上場は出来ないので注意されたしとのこと。(そのような話をわざわざ聞くまでもなく、村上世彰氏がホリエモンとお付合いしている時点で、何となく分かるような気がするが。。。)

そうした読み方をすれば、この本はビジネスマンや経営者にとって、参考になる本と言えるだろう。

 

【素人が取るべき投資手法として】

 

どうせ、投資のテクニックの細かいことなど外部からは分からない。投資の必勝パターンは(投資の成功者の頭の中にしか)ない。取り敢えず、(報道レベルでも分かる)あまりヤバそうな会社は抜きにして、PBRの低い銘柄を中心に探してみるとよいだろう。それが面倒であれば、長期投資の、バイアンドホールド型の投資信託に入れておけば黙っていても上がるかもしれない。何れの手法を取るにせよ、株式市場全体が底上げされるという確信、そういうトレンドがあるという根拠を自分なりに持つことは重要である。

 

その意味で、「生涯投資家」の本に書いてある内容は、株式投資にイマイチ自信を持てない人を勇気付け、励ましてくれる内容であったことは確かである。従業員はともかくとして、投資する側にとってはとにかく株価が上がってくれればそれでいいのだから。。。

 

 

 

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